小児(5歳~11歳)へのワクチン接種、2022年3月以降開始の見込み。現在でている諸外国の情報を紹介します。

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オミクロン株が流行するなか、ワクチンの追加接種(3回目接種)が進められていますね。

通常は初回接種の8か月以上後に追加接種が可能ですが、医療従事者等と、高齢者施設等の重症化リスクの高い集団(高齢者施設等の入所者及び従事者など)を優先対象とし接種間隔を2か月前倒すことを可能とし、その他高齢者も来年2月以降1か月前倒すことを可能とする、とあります。

そんななか、5歳~11歳へ使用する新型コロナウイルスワクチン(コミナティ筋注5~11歳用)が特例承認されました。

特例承認されるにあたり確認された臨床試験のデータを紹介します。

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コミナティ筋注5~11歳用

現在12歳以上に使用されているコミナティ筋注と用量が異なります。違いは以下の通りです。

コミナティ筋注コミナティ筋注5~11歳用
容量
含量
0.45mL
0.225mg
1.3mL
0.130mg
希釈する整理食塩液1.8mL1.3mL
1回投与量0.3mL(30μg)0.2mL(10μg)
投与間隔初回免疫:合計2回、3週間間隔合計2回、3週間間隔
1バイアルあたりの接種可能回数5~6回分10回分
冷所(2~8℃)保存期限1か月間10週間
希釈後(2~30℃)の使用期限6時間以内12時間以内
コミナティ筋注の添付文書情報より

与間隔は3週間間隔で、12歳以上と同様です。

1回あたりの投与量は1回0.2mLで、1つのバイアルで10回分あります。

冷所の保存期限や希釈後の使用期限はコミナティ筋注より長くなっています。

コミナティ筋注の調製と異なるので取り扱い時に注意が必要です。

コミナティ筋注5~11歳用の有効性

添付文書に海外第Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ相試験で、2回目接種1か月後の中和抗体価について別試験の16歳~25歳群と比較したデータがあります。

コミナティ筋注5~11歳用添付文書より
コミナティ筋注5~11歳用添付文書より

5~11歳の抗体価の平均は1197.616~25歳の抗体価の平均は1146.5で大きく差がないことがわかります。また、抗体価がベースライン値から4倍以上上昇した参加者数は5~11歳群は264名中262名(99.2%)、16~25歳群は253名中251名(99.2%)で5~11歳群と16~25歳群で差がありませんでした。

これらの結果から、直接比較ではありませんが、5~11歳へのワクチン接種の有効性は、16~25歳へのワクチン接種の有効性と同等であると判断されています。

コミナティ筋注5~11歳用の副反応

コミナティ筋注5~11歳用の重大な副反応として、以下の記載があります。

  • ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
    • ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。また、本剤接種後にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、以降の本剤の接種を行わないこと。
  • 心筋炎、心膜炎(頻度不明)
    • 心筋炎、心膜炎があらわれることがあるため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

ショック、アナフィラキシー、心筋炎、心膜炎については、5~11歳の臨床試験では発現がありませんが、これまでの他の年齢群に投与した時に発現していることから、重大な副反応(頻度不明)として記載されています。

その他の副反応として、臨床試験でのデータは次の通りです。

コミナティ筋注5~11歳用添付文書より

臨床試験結果を踏まえたその他副反応の発現頻度は次の通りです。

コミナティ筋注5~11歳用添付文書より

5%以上の発現は注射部位症状として疼痛(84.3%)、発赤・紅斑(26.4%)、腫脹(20.4%)、精神神経系症状として頭痛(38.2%)、消化器症状として下痢、筋・骨格系として筋肉痛(17.5%)、関節痛、その他として疲労(51.7%)、悪寒(12.4%)、発熱があります。

以前紹介した12歳以上の臨床試験データは次の通りです。

12歳~15歳
副反応出現数(%)
【1回目】
16歳~25歳
副反応出現数(%)
【1回目】
12歳~15歳
副反応出現数(%)
【2回目】
16歳~25歳
副反応出現数(%)
【2回目】
接種者の人数N=1127N=531N=1097N=488
注射部位疼痛971(86.2)
11(1.0)
442(83.4)
12(2.3)
866(78.9)
7(0.6)
378(77.5)
7(1.4)
発赤65(5.8)
1(1.0)
34(6.4)
2(0.4)
55(5.0)
0
28(5.7)
1(0.2)
腫脹78(6.9)
0
44(8.3)
1(0.2)
54(4.9)
0
33(6.8)
0
発熱 38.0℃以上
   39.0℃以上
114(10.1)
11(1.0)
39(7.3)
3(0.6)
215(19.6)
25(2.3)
84(17.2)
7(1.4)
疲労677(60.1)
15(1.3)
318(59.9)
11(2.1)
726(66.2)
26(2.4)
320(65.6)
23(4.7)
頭痛623(55.3)
11(1.0)
286(53.9)
11(2.1)
708(64.5)
22(2.0)
297(60.9)
21(4.3)
悪寒311(27.6)
5(0.4)
133(25.0)
5(0.9)
455(41.5)
20(1.8)
195(40.0)
12(2.5)
嘔吐31(2.8)
1(0.1)
9(1.7)
0
29(2.6)
0
13(2.7)
0
下痢90(8.0)
0
57(10.7)
0
65(5.0)
0
39(8.0)
2(0.4)
筋肉痛272(24.1)
2(0.2)
143(26.9)
5(0.9)
355(32.4)
6(0.5)
199(40.8)
9(1.8)
関節痛109(9.7)
1(0.1)
70(13.2)
3(0.6)
173(15.8)
4(0.4)
107(21.9)
4(0.8)
ワクチン各回接種後 7 日間における反応原性事象(反応原性解析対象集団)

上記データと5~11歳群のデータと比較すると、局所部位反応として疼痛の発現頻度は同程度(12歳以上86.2%、5~11歳84.3%)ですが、発赤、腫脹は12歳以上のデータ(5.8%、6.9%)より発現頻度が高い(26.4%、20.4%)ように思います。発熱に関しては12歳以上(19.6%)と比較すると発現頻度は少ない(6.5%)ように思います。

ワクチン接種前、接種後の注意

37.5℃以上の発熱がある場合はワクチン接種はできません。

接種後はショック・アナフィラキシーの発現の可能性があるため、30分くらいの安静(座ってゆっくり待つ)ことが必要です。また注射した部分はさわらない(こすらない)、接種当日の激しい運動は避ける必要があります。

まとめ

コミナティ筋注5~11歳用の有効性は16歳以上と同等、副反応は発現頻度に多少の違いがあるものの、12歳以上の副反応と同様の症状が出るようです。

ワクチン接種を行うことで、感染予防、重篤化予防につながります。オミクロン株が流行する中、少しでも免疫を獲得するために接種することをおすすめします。

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