新型コロナワクチンは変異株にも有効?イギリスのデータがあったので紹介します。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が続いています。ワクチン接種は順次進んでおり、夫も先日2回目接種が完了しました。最近流行しているデルタ株にもワクチンって効くのかな?と思い、データを探したところ、厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aに掲載されていたので、その元データを含めて紹介します。

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新型コロナワクチンQ&A での回答

厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aについては、「新型コロナワクチン Q&A(厚労省HP)」を紹介。正しい知識を身に着けよう。 | りんブログ (lynn-pharma.com)で紹介しました。

その中で、「変異株の新型コロナウイルスにも効果はありますか。」という質問に対する回答が次のように記載されています。

回答:一般論として、ウイルスは絶えず変異を起こしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではありません。それぞれの変異株に対するワクチンの有効性がどのくらいあるのかについても、確認が進められています。

(中略)

英国公衆衛生庁(PHE)が公表した、ファイザー社のワクチンを実際に接種した後の状況に基づく研究結果によると、発症予防効果に係るワクチン有効率は、B.1.1.7(アルファ株)で約94%、B.1.617.2(デルタ株)で約88%、また、デルタ株による入院を予防する効果は約96%と報告されています。
ただし、このような実臨床での観察研究等は、流行状況など別の要因が結果に影響するなど、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことから、結果の解釈に留意が必要です。

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&Aより引用

どうやらイギリスでのデータとして、デルタ株の発症予防効果およびデルタ株による入院を予防する効果が報告されているようです。

このQ&Aの引用文献として、次の2つの情報が表示されていました。

  • 「N Engl J Med. 2021 July(Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2(Delta) Variant.)(B.1.617.2(Delta)変異体に対するCovid-19ワクチンの有効性)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2108891」
  • 「Vaccines highly effective against hospitalisation from Delta variant(ワクチンの効果は、デルタ型の入院に対しても高い。)https://www.gov.uk/government/news/vaccines-highly-effective-against-hospitalisation-from-delta-variant」

それぞれのデータをみてみます。

B.1.617.2(Delta)変異体に対するCovid-19ワクチンの有効性

先ほど紹介した文献に、英国公衆衛生庁(PHE)でのデータとして、投与量とワクチンの種類に応じた、アルファ変異株またはSターゲット陰性の状態およびデルタ変異株またはSターゲット陽性の状態に対するワクチン効果という表が載っています。

ワクチンの効果は、次のように定義されています。

  • 1回目のワクチン効果:症状発現日が1回目の接種から21日以上経過した人を対象に推定
  • 2回目のワクチン効果:症状発現日が2回目の接種から14日以上経過した人を対象に推定
  • 感染リスクの違いを考慮して,ワクチン未接種者および接種後4~13日目に症状が出た人との比較を行った。(ワクチン投与日(0日目)から3日目までの期間は除外)
N Engl J Med. 2021 July(Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2(Delta) Variant.)

こちらの表から、デルタ株の症候性疾患に対する推定ワクチン効果は、ファイザー社のBNT162b2ワクチンの単回接種で約36%、2回接種で約88%のようです。このデータには、モデルナ社のワクチンについてのデータはありませんでした。

この文献の考察で、入院や死亡を含む重篤な疾患に対するワクチンの効果を推定するには、症例数や追跡期間が現時点では不十分である、と記載されているので、このデータからは入院や重篤化についてのワクチン効果は推定できないようです。

デルタ株の入院に対するワクチン効果

もうひとつの記事では、「ファイザー・バイオンテック社のワクチンは、2回接種後の入院に対して96%の効果がある。オックスフォード・アストラゼネカ社のワクチンは、2回接種後の入院に対して92%の効果がある。これらは、Alphaバリアントの入院に対するワクチンの有効性と同等です。」とありました。その記事の分析結果として、次の表が掲載されていました。

今回の解析では、4月12日から6月4日までの間に、イングランドの緊急入院患者を対象に、14,019人のデルタ株の症例(うち166人が入院)を調査した、とあります。

こちらの表では、ファイザー社のワクチンを2回接種した場合、アルファ株では95%、デルタ株では96%、入院に対してワクチンの効果がある、と記載されています。

まとめ

イギリスでの限られたデータですが、ファイザー社のコロナワクチン接種を2回受けた場合、デルタ株への予防効果および入院するほどの悪化への効果があるとあります。

日本でも同じような研究がなされているとよいのですが、現時点では見つけられませんでした。

ワクチンを接種する、接種しないのは自己判断となりますが、現在流行しているデルタ株への効果もあるというデータがある、というのも、ワクチンを接種する判断材料になればと思います。

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