オミクロン株対応のワクチン登場! 対象者は?いつから接種できる?厚労省ワクチン分科会資料より紹介します。

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新型コロナウイルスが流行してから、もうすぐ3年になりますね。

当初はワクチンも治療薬もない状態で手探りで医療機関で治療がなされていましたが、今はワクチンも治療薬も色々でてきて、重症化する人の割合も少なくなったと感じます。一方、身近な人からコロナになったと聞くようになって、まだまだ感染対策は続ける必要があるのかな、と思います。

そんななか、オミクロン株対応ワクチンが2022年9月12日に特例承認されました。まだ4回目接種をしていない医療従事者から、それならオミクロン株対応のワクチンを接種しようかな、という声も聴きます。

今回、第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2022年9月14日)の資料から、オミクロン株対応ワクチンの特徴や接種対象者、いつから投与できるかなどの情報を収集したので紹介します。

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現在の新型コロナウイルスの流行について

現在、日本では第7波と言われています。2022年9月18日時点の新規陽性感染者数は64,018人です。ワクチン分科会の資料では9月10日時点の報告日別感染者数のグラフが掲載されていました。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料1より

こうやってみると、第7波の人数の多さがよくわかります。

また、オミクロン株の亜系統の流行についてもグラフの掲載がありました。1週間ごとの推定値が記載されています。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料1より

以前流行していたデルタ株は、2021年末からオミクロン株に置き換わっています。

そのオミクロン株も2022年の1月、2月はBA.1系統が、3月以降はBA.2系統が、現時点ではBA.5系統が流行していることがわかります。

オミクロン株対応ワクチンについて

今回、特例承認されたのは、BA.1系統に効くように開発されたワクチンです。なので、現在流行していうBA.5系統よりも前に流行していた株を元に作成されているので、今流行している株にフィットしたものではありません。

今後BA.4/5系統をターゲットとしたワクチンがでてくるようです。ただ、BA.4/5系統をターゲットとしたワクチンはアメリカでは緊急使用許可がでているようですが、日本で使えるようになるのは年明け以降という話もききますので、とりあえずはBA.1系統に効くワクチンの使用となりそうです。

承認されたオミクロン株対応ワクチン

2022年9月12日に薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で承認されたオミクロン株対応ワクチンは、ファイザー製ワクチンとモデルナ製ワクチンです。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料2より

オミクロン株対応ワクチンは、従来のワクチンにオミクロン株対応ワクチンが一緒に混ざっている2価ワクチンです。ちなみに従来のワクチンは1価ワクチンです。

上の表にあるように、オミクロン株対応ワクチン(SARS-CoV-2(起源株及びオミクロン株)のスパイクタンパク質をコードする mRNA を含む製剤)は、追加免疫としての用法用量のみ認められています。

つまり、初回免疫(1回目接種、2回目接種)には使用できません。

また、通常の接種間隔として、「前回の接種から少なくとも5カ月経過した後に接種を行うことができる」とあるので、2回目、3回目、4回目接種後、それそれ5か月経過すれば種可能となります。

ただ、オミクロン株対応ワクチンの承認を検討した部会で接種間隔を短縮する方向で検討し、10月中旬までに結論を得ることとされた、とあるので、10月下旬には接種間隔について明確になると思います。

厚労省作成のオミクロン株対応ワクチン情報提供資材案でわかりやすい図がありました。

2022年9月時点では12歳以上が対象です(ファイザー社製:12歳以上、モデルナ社製:18歳以上)。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料3より

オミクロン株対応ワクチンの有効性

オミクロン株対応ワクチンの有効性について、第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料2に次のように記載されています。

  • 海外で行われた臨床試験において、従来型ワクチンを初回免疫及び追加免疫として合計 3 回接種済みの健康人に対して、2価ワクチンを 4 回目として 1 回接種したときの免疫原性を評価した結果、以下のとおりであった。
    • オミクロン株 BA.1 系統に対する中和抗体価について、従来型ワクチンに対する 2 価ワクチンの優越性が示された。
    • オミクロン株 BA.1 系統に対する抗体応答率について、従来型ワクチンに対する 2価ワクチンの非劣性が示された。(抗体応答率は、初回免疫前の中和抗体価から 4 倍以上上昇した被験者の割合)

ようするに、オミクロン株に効く中和抗体は従来ワクチンより多く作れ(優越性)、ワクチンを接種する前の抗体の数より4倍以上上昇した被験者の割合は、従来ワクチンと差がなかった(非劣性)、ということのようです。

詳しいデータは次の通りです。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料2より

ファイザー社製ワクチンの4回目接種前後の中和抗体価は、従来ワクチン(1価ワクチン)の場合、オミクロン株への中和抗体が67.5→455.8に対し、オミクロン株対応ワクチン(2価ワクチン)の場合、76.7→711.0となり、従来ワクチンの1.56倍の量となります。

モデルナ社製ワクチンの4回目接種前後の中和抗体価は、従来ワクチンは332.023→1473.462、オミクロン株対応ワクチンは298.127→2372.424で、従来ワクチンの1.745倍の量となります。

いずれも従来のワクチンよりオミクロン株へのワクチンが多く作れているようです。

欧州の規制当局(EMA)では2022年7月の見解として「オミクロン株対応ワクチンについて、2価ワクチンに加えるオミクロン株の亜系統(BA.1,BA. 4/5等)によって大きな差があるとは認識しておらず、現時点で絞り込みは行っていない。(第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料1より)」とのことなので、現在流行しているBA.5にも従来ワクチンよりは効果があるのかもしれませんね。

オミクロン株対応ワクチンの安全性(副反応)

安全性情報については、第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料2に次のようにまとめられています。

  • 臨床試験成績から、2価ワクチンの追加接種における安全性に重大な懸念は認められていない。
  • 主な副反応としては注射部位疼痛疲労及び頭痛が挙げられるが、ほとんどが軽度又は中等度で回復性が認められている。
  • 2 価ワクチンの追加接種に係る安全性プロファイル従来型ワクチンの追加接種時と概ね同様であり、現時点で重大な懸念は認められていない。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料3に下記図がありました。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料3より

ファイザー社製ワクチンの安全性情報は次の通りです。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料1より

モデルナ社製ワクチンの安全性情報は次の通りです。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料1より

過去にファイザー社製ワクチン、モデルナ社製ワクチンを接種して副反応が出た場合は、同じような副反応が出る可能性があると思います。

まとめ

今回承認されたオミクロン株対応ワクチンは、過去に流行していたオミクロン株BA.1系統に対応するワクチンであり、現在流行しているオミクロン株BA.5系統には従来株より効果がある気がします。

厚労省の情報提供資料では「オミクロン株に対して、従来型ワクチンを上回る重症化予防効果とともに、持続期間が短い可能性があるものの、感染予防効果や発症予防効果も期待されます。」とあります。また、「2価ワクチンであることにより、様々な新型コロナウイルスに反応します。」ともあります。

まだまだ新型コロナウイルス感染症が続いています。この情報が接種の判断の一助になれば幸いです。

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