鉄瓶で沸かしたお湯は、まろやかな味があると聞いたことはありませんか。
今から15年くらい前、お茶のお稽古を始めた当初、百貨店で催されていた日本の伝統工芸展で鉄瓶を買いました。以後、ほぼ毎日使用しています。
今日はそんな鉄瓶の魅力をご紹介したいと思います。
鉄瓶の魅力
お湯を沸かすのはどれも同じと思う方もいると思いますが、私が鉄瓶をおすすめする理由は二つあります。
- 鉄瓶でお湯を沸かすとまろやかな味になる。
- IHでも使用できる。
鉄瓶で沸かすお湯は、電気湯沸かし器で沸かした時とくらべて、まろやかな感じがします。同じ白湯でも鉄瓶で沸かした白湯と電気湯沸かし器で沸かした白湯では、味が全然違うため、白湯を作るときは鉄瓶、インスタントスープ用の場合は電気湯沸かし器と分けて使用しています。相方も気に入ってくれていて、毎日複数回湯冷ましを作るため、鉄瓶は常にキッチンに置いています。
あと、IHで使用できることも発見でした。通常、鉄瓶は炭火かガスで沸かすイメージでしたが、お茶の先生が電熱線で沸かしていることを思い出し、使ってみたところ、普通に使うことができました。
よく「鉄瓶で湯を沸かして飲むと鉄分がとれる」という話を聞きますが、相方が測定したところ、鉄分はゼロだったそうです。鉄分を補うためには向いてなさそうです。
鉄瓶との出会い
今使っているものは、山形県の「山形鋳物 雅山 GASEN」さんの鉄瓶です。お茶を習い出したころで、お稽古にも使えるかな、という気持ちで買いました。ただ買った当初はそんなに使わず、押し入れに仕舞ってた気がします。
そんななか、転勤で親元を離れることとなり、湯沸かしのため鉄瓶を持っていくことにしました。
実家では美味しい温泉水を定期購入していましたが、さすがにひとり暮らしで使うには贅沢だったため、湯冷ましで飲み水を作ろう、という考えだったと思います。
当時の家は調理用熱源が電気だけどIHじゃない、黒い円形のもので、鉄瓶も熱が伝わるため使用することができました。
使い方
鉄瓶の使い方は普通のやかんと同じです。水を注ぎ口の穴の半分くらいまで入れて、蓋をして、熱源にかけます。だんだんシューッと音が聞こえてきて、やがて音が小さくなったころに注ぎ口から蒸気がでて。沸騰したことがわかります。約1Lの水が5分ほどで沸きます。
鉄瓶は蓋もすべて鋳物のため、沸騰後に蓋のつまみを持つと、やけどするほど熱いです。そのため、蓋を布巾などで押さえて注ぎます。ちなみに蓋のつまみはナス型です。
お湯は完全に注ぎ切り、鉄瓶内の水分は余熱ですべて飛ばします。
鉄瓶を購入したときに使用上の注意のしおりが入っていました。その内容の概要をご紹介します。使い方を守ることで、「金気がでず鉄瓶でなければ生まれない、まろやかで甘味ゆたかな湯を召し上がれます」と書かれています。
- 新品をご使用の際、内部 防さび処理のにおいなどを取るために、水をよく沸かして捨てることを3回ほど繰り返す。(ガス台で使用する際は小さい日で時間をかけて沸かすこと)
- 沸かしたお湯が鉄瓶の中で水に戻らないよう、湯を使い切って余熱で内部をよく乾かし、湿気を残さないように注意する。(特に就寝前は注意)
- 通常、内面に赤褐色の斑点が生じますが、錆ではありません。錆の場合はお湯が赤く濁り金気がでます)
お手入れ
鉄瓶は基本的にお湯を残さず注ぎ切るという方法のみで、特に洗うことなく、普段使いできます。
お手入れについても、しおりに記載がありましたので紹介します。
- 洗う場合はスポンジやブラシは使わず、すすぐ程度にすること。
- 長時間使用すると内面に白っぽい沈殿物が付着するが、これは金気を防ぎお湯が美味しくなるものであるため取り除かないこと。
- 何日も使用しない場合は湿気のないところで保管する。
- 空焚きをしない(万一空焚きした場合はそのままゆっくり冷やす)
- もし万一金気が出た場合には茶殻を沢山入れて長時間煮立てる。お茶の担任質の作用で軽度の金気なら取り除くことができる。
- 表面は漆の焼付塗装が施されているため、手入れの時は油を塗ったりせず、やわらかい茶巾等で軽くふき、灰やほこりがつかないようにする。
私の場合、鉄瓶の内側の赤褐色が目立ってきたら、お茶パックに緑茶を入れて、突沸しない程度の火加減で、お湯が少なくなるまで煮だします。そうすると赤褐色がコーティングされて目立たなくなります。
以前、どうしても赤褐色が気になって、製造元に問い合わせたところ、次のお返事がありました。
写真見せて頂きました。
これは鉄瓶が育ってる途中経過の様子で必ず通る道です。
蛇口からの塩素と鉄が化合して赤くなるのは普通。これを、削ったり、擦ったりせず、このまま使い続けていくと、この上に段々と湯垢が付いて来ますので、湯垢をなるべくつける用に洗ったりせず、使いっぱなしにして毎日楽しんで頂だければ大丈夫です。
やがて、湯垢が壁になり赤く成らなくなるので、其れまで使い続けることが大事です。
上手にお使いですよー
楽しんで鉄瓶ライフを謳歌してくださいませ。
このお返事をいただいて、これまでの使い方が間違っていなかったと、ほっとしました。
鉄瓶の湯冷ましと水道水を比較
水槽用の測定紙で水道水と鉄瓶の湯冷ましを比較してみました。
あまり違いがわかりませんが、鉄瓶の湯冷ましの方が、やや硬度が高いようです。本来、まろやかになる=軟水に近づく、ということなので、測定結果とは一致しませんでした。なお、水道水の塩素は0でした(どちらかというとそちらの方が衝撃的)。
鉄瓶のあるくらし
お茶のお稽古用のつもりで購入した鉄瓶がこんなに活躍するとは買った当初は思ってもみませんでした。今では我が家の必需品です。これからも使用して、湯垢がつくまで楽しもうと思います。
皆さまも鉄瓶のあるくらしはいかがでしょうか。
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